公立高校入試を終えて~高校入試問題の分析と対策~
こんにちは!個別指導塾SHIN塾長です。
昨日は神奈川県公立高校受験発表日でした。当塾では開校から2年目となる今年の高校受験も、全員合格で終えることが出来ました。大変喜ばしく、又最後まで全力で受験勉強に取り組んだ生徒を誇らしく思っております。(本年も昨年に引き続き、受験生の人数が少ないため、合格実績の発表は控えさせていただきます。)
今までの高校受験指導の中では全員合格といった結果で終えることが出来なかったこともあります。それでも生徒自身は受験を通して大きく成長し、その悔しさが、そして目標に向かい懸命に取り組んだ経験が、これからの長い人生の大きな武器になると伝え続けています。しかしながら塾としては、合格へ導くことこそが使命です。合格発表は次の受験シーズンの始まりでもあります。どうすればより良い合格へのサポートが出来るのか、授業内容、学習内容をブラッシュアップするタイミングです。そこで今回のブログでは、2月14日に行われた高校入試問題の分析とともに、受験生に求められる力がどのようなものなのか、より力を入れて学習をするべきポイントはどこなのかを、科目別に書き進めていきます。次年度の受験を控えた中2生はもちろん、中1生、これから中学生となる小6生も是非とも参考にしていただければと思います。
英語
基本的な問題形式は昨年同様でした。問2の単語選択では、昨年と同じくやや難易度の高い単語の使い方が問われていました。教科書の太字で書かれた語句以外からも当然のように出題されています。太字の語彙は正しくスペルを書けるようにすることが必要となりますが(神奈川県の高校入試では書く問題は問5の英作文のみですが)、その他の単語は書くことが出来なくても発音、意味を答えられる状態でなければなりません。新課程になり学習すべき単語数は一気に増加しました。日常の学習ではこれまでと同様に学習した単語は全て書けるように取り組むことは変わらず、入試直前期の学習として単語の総確認をする場合では、まずは発音できること(聞きとりも含む)、意味を答えられることを最優先にした学習が効果的になります。特に英語が苦手な生徒にとっては単語帳と赤シートや、フラッシュカード、アプリといった書くことにこだわらない復習の仕方がおすすめです。
長文問題は昨年よりも文章内容がかなり読みやすくなっていました。設問に関わる部分の語彙が昨年よりも優しくなったと感じられます。とはいえ、文章量の多さは変わらずとなりますので、高校入試に向けては長文に慣れていくことが例年と変わらず大切となります。学校の定期テストではまず見られない量ですので、英語の基礎が固まっている生徒は中1から、それ以外の生徒でも中2の時期から長文問題を解く練習を行うことが必要になります。
国語
出題のされ方は昨年と同様でした。物語文は非常に読みやすく、説明文も抽象度がやや高い文章ではありましたが、問いの選択肢は明らかに間違いと感じるものも多く難易度は下がったと感じます。昨年と同様に最終問題に複数の文書から情報を統合する問題が出題されましたが、指示された条件となる語句を用いることで、書く文章の流れがわかりやすく示されていました。
必要になるのは例年と変わらず文章を論理的に読む力、段落ごと、文ごとに「要するにこういうこと」とまとめることのできる要約力です。国語は小学校卒業時における生徒一人一人の基礎力に最も差がつく科目だと考えています。文章を読む量ももちろんですが、文章問題を解き、正しい解答の根拠を論理的に振り返ることこそが国語の力を伸ばします。以前のブログ「国語力と国語学習について」でも書きましたが、文章がどのような構成で書かれているのかを学ぶことが大切です。
数学
問題の構成は変化がありませんでしたが、難問とされる配点6点の問題が4問に増えました。問3では、今回最難関だと思われるアの図形の面積を求める問題、続く箱ひげ図、方程式の問題もやや開放にたどり着くまでがとっつきにくく、ここで時間をとられた生徒が多かったのではないでしょうか。後半の関数確率空間図形は例年通りの構成と難易度であったと感じますが、解き方によっては計算量を要求される出題であり、例年よりも更に厳しい時間との戦いになったはずです。平均点が大きく下がることは間違いないです。とはいえ、問1問2の問題、問4、5、6の最終問題以外といった必ず取らなければいけない部分の難易度に変化はなく、今年の入試は解く問題と後回しにする問題(捨てる問題)を見切る力、作戦が大きく影響した問題でした。
偏差値50前後の高校を志望する生徒は確実にできる問題をどれだけ増やすことが出来るのか、どれだけ自信をもって解くことが出来るのかが重要になります。出題内容は過去問から大きく逸脱はしていません。だからこそ、過去問演習、模試の問題の徹底的な活用、神奈川県高校入試に特化した問題集での学習が必須となります。偏差値60を超える高校を志望する生徒でも、平面図形、関数、確率、空間図形の中から今回の入試では4問中2問とれていれば十分な点数となります。どれに時間を使うべきなのか、解けそうな問題はどれなのかといった取捨選択が非常に大切となります。見切る力は、問題の先を読む力でもあります。難問をただ解くだけでなく、塾の先生の解説や模範解答と自分の考え方との違い、この問題から見えたパターン化できる部分はどこなのか、などといった学習が必要です。
理科
問題の構成に変化はありませんでした。ただ暗記しているだけでは太刀打ちできない問題が多く、一部の知識を問う問題に関しても教科書を細かな部分まで読み込まなければ解くことのできない選択肢がありました。昨年以上に、単なる知識の暗記といった学習では高得点は望めない入試問題でした。又、問1のアに難問が出され、最初の1問で面食らった学生も多かったはずです。理科は他教科と異なり出題順と難易度に関連がない科目であり、又例年最序盤に難問を入れてくる傾向にあることを知っているかどうかで解答時間の割り振りや試験中のモチベーションに差が出たのではないでしょうか。
学習のポイントは昨年と同様に実験、観察から問われる演習を中心に取り組むことです。とはいえ、基本的な語句や現象、公式の知識が身についていることが実験観察を考察するうえで必要となり、演習の前提となります。学校の定期テストもここ数年で思考を必要とする問題構成に変化しており、定期テスト対策としての取り組みである1週間前までには暗記事項を完璧にすること、直前期には問題演習を中心にするといった学習が求められます。
受験勉強においてはこの取り組みを3学年分振り返ることが必要になるため、中1、中2では学期ごと、学年末ごとの基礎知識の確認、受験勉強が本格化する中3の夏からは基礎知識の総復習と実験観察を中心とした問題演習に取り掛かるといった学習の流れが必要です。
又、学校の授業での実験レポートやグループワークでの研究発表で、何のために実験観察を行うのか、なぜこの手順なのか、何がわかったのか、なぜうまくいかなかったのか、別の現象との関連はないのか、といった点を考えることが高校入試の理科につながっています。普段の授業に対する取り組みが理科の得点力を伸ばすための大切なポイントともなっています。
社会
問題の構成に変化はなく、図表の読み取り、設問で問われる知識共に難易度は昨年よりも下がったと感じました。ただし公民では細かな知識を問われる出題がいくつかあり、中3で学習するこの範囲の出来が得点を左右したと思われます。
例年通り、知識だけで解ける問題だけでなく図や表の読み取り、複数の資料から情報を探し出す問題といった、データを分析統合してそこから何が導き出せるのか考える力が問われています。図表を扱った問題になれることはもちろんですが、知識については前後や関連を意識した学習が必要になります。地理の例として地名から気候、産業、生活、政治経済を関連させて導けること、歴史分野であれば一つの出来事が以前の出来事と関連してなぜ起こり、どういった次の出来事につながるのか述べることができること、このような学習が求められています。
まとめ
数学理科の難化と英語国語の易化により、平均点自体は昨年と大きく変化はないものと思われます。高偏差値域では数学の得点が昨年以上に総合得点および合否に直結したのではと感じます。科目間の難易度調整は公平であるとは言えませんが、この傾向は長く続いており、次年度以降もとらなければならない科目と問題を確実に正解すること、数学では問題を見切る力を身に着けること、といった対策が必要になるでしょう。
出題内容としては数学、英語の2科目は、学校で取り組む学習だけでは対策はどうしても不足してしまいます。学習塾での対策ももちろん有効ですが、第一にお勧めするのは「模試受験」です。今年も神奈川全県模試(https://www.shingaku-kobo.com/)による新中2、中3全県チャレンジが3月23日に行われます。模試を受けることで、翌年、翌々年に受けることになる入試問題がどのような問題なのかを知ることができます。また現時点での自分の弱点を発見する絶好の機会ともなります。(模試についての詳しい取り組み方は以前のブログ「3月模試受験のすすめ~伸ばす部分を見つけよう~」をご覧ください)
3月は振り返りの季節です。中1生は4月から2年生となり成績が高校入試に直結することとなります。1年間の学習の取り組みを振り返り、上手くいったこと、やりたいけれどできなかったこと、全くできていなかったことを書き出し、2年生からの学習方法をより良くしていかなければなりません。
中2生にとっては、もうすでに受験ははじまっているということを実感しなければなりません。志望校の検討、受験へ向けた学習スケジュールの作成、日々の学習の振り返りと、3月はやるべきことが盛り沢山です。
当塾では3月22日土曜日から春期講習を行います。進路や学習に関してのお悩み、ご相談がございましたら是非とも当塾にお問い合わせください。無料体験授業も実施しておりますので、学習に関するお悩みのご相談といった形でもお気軽にお尋ねください!